血液透析(HD)の特徴
- 通常、医療機関で行います。
- 通院は週3回で、医療スタッフが治療を行います。1回の治療時間は4時間程度です。
- 動脈と静脈をつなぎ合わせる手術で、静脈に多くの血液が流れるようにします(内シャント)。
- シャントに刺した針から血液を体の外に取り出し、体にたまった余分な水分や老廃物を器械で取り除きます。
- 治療中に動き回ることはできませんが、患者さん同士でおしゃべりしたり、テレビを見たり、読書をして過ごします。
Medical
腎臓は背中側の腰の高さに左右1個ずつある臓器で、血液中の老廃物(=ゴミ)をろ過して尿をつくる、いわばからだの「排水処理場」です。腎臓のおかげで血液がきれいになり、体内の水分量を一定に保つことができます。
さまざまな原因により、腎臓のはたらきが不十分になった状態を腎不全といいます。腎臓が働かなくなると、本来尿として出るべき老廃物が体に溜まります。症状は、進行速度や重症度、原因によってさまざまですが、むくみや高血圧、心不全を起こすことがあります。さらに進行して毒素が大量に体に溜まることで「尿毒症」となり、重とくな場合、全身けいれんなどの症状が現れます。
腎臓の働きが10%以下になると、血液のろ過が充分に行えず、水分や老廃物のコントロールができなくなってしまいます。そのような場合、人工的に血液をきれいする透析治療を行うか腎移植しなければ生きていけません。
透析療法には血液透析と腹膜透析があり、どちらを行うかはそれぞれの治療方法の特徴と患者さんの腎臓の状態や生活習慣などを考慮して決められます。
血液を体の外へ取り出し、ダイアライザーと呼ばれる透析膜(フィルター)に通すことで、血液中の老廃物や余分な水分を除去し、血液をキレイにします。キレイになった血液はその後、体内にもどされます。
シャントなどのブラッドアクセス(VA)は、血液透析治療を受けるうえで必要不可欠です。当院では定期的にシャントの超音波検査を実施することでVAが高水準で維持され、質の高い透析治療ができるようにしております。
また治療が必要な場合には、放射線被曝がなく、造影剤が不要な、超音波ガイド下シャント治療(PTA)を実施することも可能です。(状態によっては対応できない場合があります。その場合は責任をもって他院に紹介いたします)。
お腹の中に透析液を一定時間いれておくと、腹膜を介して血液中の余分な水分や老廃物が透析液側に移動します。その老廃物や水分を含んだ透析液を身体の外に出すことで血液をきれいにします。
血液透析の一種で、通常の透析では除去することが難しい分子の大きな尿毒素の除去に優れ、透析アミロイド症の進展抑制や関節痛や皮膚のかゆみなどさまざまな改善効果が期待されます。
当院では一部のベッドで長時間透析を行っています。長時間透析とは週18時間以上の透析(週3回であれば1回6時間以上の透析、隔日透析であれば1回5時間以上の透析)と定義されています。
日本の透析水準は世界一ですが、その一方で透析患者さんの寿命は健常人に比べてまだまだ短く、患者さんは透析特有の合併症に悩まされます。4時間程度の透析では血液中の尿毒素は除去できても、細胞内の尿毒素まで十分に除去することはできません。こうして、尿毒素が蓄積した結果、様々な合併症が起こるのです。
したがって透析合併症の多くは、「透析不足による合併症」と言えます。
しかし、長時間透析を行えば、体内の尿毒素を十分にとることができるため、血圧は下がり降圧薬は減量ないしは不要になります。またリンやカリウムも問題にならなくなり、リンの吸着薬やカリウムの吸着薬も減量ないしは不要になります。更に、貧血は改善し造血ホルモンの使用量は減り、何より多少体重増加があっても長い時間をかけて緩徐に除水することから、急激な血圧低下を来さず無理なく透析できるのです。
そのため健常者とほぼ同等に食べることができます。しっかり食べる結果、栄養状態も良好となり、このことが長時間透析患者の良好な生存率につながっていると考えられています。
顆粒球吸着療法は、炎症性腸疾患に対して炎症の原因となりうる顆粒球を選択的に除去および機能を変化させることによって炎症を鎮める効果があります。この治療は潰瘍性大腸炎に対して2000年4月より、また2009年1月からはクローン病に対しても保険適用となりました。
顆粒球吸着療法は、血液を一旦、体外に連続的に取り出し、炎症に関与している顆粒球を選択的に除去する医療機器(顆粒球吸着器)に通し、その後血液を体内に戻すものです。治療は基本的には1回約60分の治療を10回行います。患者さんの病状にもよりますが、必ずしも入院でなければ受けられない、という治療ではありません。
顆粒球吸着療法を行うと、下痢や血便、発熱などの症状、また、内視鏡的にも改善が期待されます。
この治療は薬物療法・外科療法に続く、非薬物療法である第三の治療法です。体内に薬などの成分が送り込まれて効果を発揮する治療ではなく、炎症に関与する血液成分を取り除く治療で、薬物療法に比して重篤な副作用が少ないのが特徴です。当院でも、今までの治療法で病状のコントロールが難しかった患者さんや、ステロイドを減らしたい患者さんについても効果が見られていますので、この治療の対象となる方は、試してみる価値はあるでしょう。
潰瘍性大腸炎ならびにクローン病に対する治験の結果では、副作用は頭痛・嘔気・めまい等、体外循環特有の症状が見られましたが、いずれも一過性で軽度であったと報告されています。当院ではこれまで大きな問題となった副作用は発生していません。